千丈岳(3033m

仙丈岳 (1998.8.4〜5)  同行者 妻

 南アルプスへは奥深い森林に囲まれた静かな雰囲気が好きでたびたび出かけ、3000m峰で登っていなかったのは仙丈岳と塩見岳の2峰になりました。
塩見岳は少し離れていてアプローチも長いので簡単そうな仙丈岳に登ることにしました。

 スーパー林道を走って広河原に車を停めバスで北沢峠に行き、そこから薮沢経由で馬の背ヒュッテに入り一泊。
翌朝仙丈岳を登って小仙丈岳・大滝の頭を経由して北沢峠に下山するというコースです。

 自宅を6時半に出て夜叉神峠に着いたのが10時少し前。いよいよ断崖を走るスーパー林道です。
舗装はされているのですが、カーブが多く少しも気を緩めることの出来ない道路です。すぐに長い夜叉神トンネル。
すれ違いが難しい狭い道、明かりは点いておらずトンネルの中央部が高くなっているので先が見通せず真っ暗です。

緊張一杯で対向車が来ないことを祈りながら入りました。とにかく怖いことこの上なし。
何とか対向車なしで走り切りました。更に広河原までは断崖の縁を急カーブで走ります。
カーブばかりなので見通しが利かずカーブ毎に設置されているミラーを確認し続けての走行です。

トンネルも幾つかありましたが、夜叉神トンネルほど長くはなく何とか手に汗を握りながら無事に広河原に着くことが出来ました。
割とスピードを出していたのか夜叉神峠から30分ほどで着くことが出来ました。

 広河原から北沢峠までは一般車は通行止め。車を駐車場に停める。駐車場と言っても草が茫々の舗装もしてない空き地。
シーズンのせいか車が多く停める場所に苦労しました。

 北沢峠までは専用のマイクロバスに乗ります。このバス便は本数が少なく10時過ぎから12時半までの2時間ほど広河原で待ちました。
2時間半だと林道を歩いて行っても着いてしまうくらいの時間。歩いても良かったのですが、楽してバスを待ちました。

本を持ってくれば良かった。12時半のバスは数人の登山者を乗せて山間の道を行きます。
途中野呂川出会いで数人の登山者が降りました。沢登の人か、両俣小屋へ行く人でしょうか。
 

 北沢峠までは30分弱。北沢峠は甲州の芦安村からと信州の長谷村からそれぞれバス便があり、この北沢峠でそれぞれ折り返しです。
甲斐駒や仙丈岳登山の基地です。ペンションかと見間違うほどの山小屋もあります。長衛荘です。

 


大平山荘の脇を通って樹林帯の急坂を登ります。途中で見えた甲斐駒です。山頂は雲が出ていて良く見えませんが、魔利支天が少し見ます。
25年前に黒戸尾根から登ったことを思い出します。3日目にようやく山頂に立ちましたが、3日間雨が降り続いて展望のない山行でした

 


 薮沢大滝を過ぎた辺りからは川に添った薮沢の登りになり、割と楽な道。北沢峠から2時間半で馬の背ヒュッテに到着。
15時半。名前の通りロッジ風の洒落た山小屋です。
標高2500mを越えていると思われるこのようなところも中高年者登山ブーム・百名山登山ブームの影響で山小屋としては豪華な建物になって来ているようです。昔日の思いです。

 中高年者登山ブームにより登山者の殆どが昔若かった人達です。そしてその殆どが女性です。
このブームにより割りと裕福な中高年者のために、山小屋は綺麗に整備され食事も出るようになったりその食事も年々豪華になって来ています。
また登山靴や雨具などの登山装備も技術の進歩にもより昔と比較にならないくらい良くなっているように思えます

 小屋の前からの小仙丈岳です。少し靄が出てきました。小屋はそれほどの混雑もなく、ほどほどの混みようでした。
小屋の前には、自炊出来る場所もありましたが、昔と違い今は南アルプスの小屋は殆ど食事が出るので、さすがに自炊をする人はいません。

ただ割と歳のいった父親らしき人とその息子と思われる若い男性二人が自炊道具を出して、何時焚いたのか鍋からご飯をとって食べていました。
昔のような今にも崩れそうな山小屋と違って如何にもロッジ風な造りの山小屋にはなにかそぐわないように思えて、しばらくその父子と思われる二人を眺めていました。

 


 
まずまずの睡眠をとって翌朝3時半に起床。頼んでおいた朝飯を持ってまだ暗い4時半に小屋を出る。
ヘッドランプはいつも非常時用に必ず携行していましたが、妻と一緒の山行では初めての活用です。

 日の出を見るために早くに出発した人もいましたが、我々と同じ時刻くらいに出かける人が多かったようです。
暗い道を歩き出してすぐに丹渓新道から続く馬の背の尾根に出ます。
山頂と反対側の馬の背に高山植物が咲いているそうでそちらへ行く人もいましたが、こちらは山頂目指して日の出前の薄明かりの中登りました。
 これは甲斐駒方面です。まだ谷あいは真っ暗です。

 


これは薮沢カールと仙丈避難小屋です。頂上直下ですが、山頂は靄がかかってかすんでいます。
朝日が射し始めて来ました。見通しの良い歩きやすい登りです。この辺を歩いているとき 雷鳥の親子に遭遇しました。
3羽ほどの子供が登山道を横切ります。
我々も含めて登山者4〜5人が近くで見ていると、母鳥は子供達がおぼつかない足でガレ石の登山道を横切り終わるまでジッと見守っていました。
我々登山者もその場で驚かせないよう身動きせずに親子が渡りきるのを見守りました。
当時はまだ野鳥撮影には入り込んでおらず写真を撮ることすら考え付きませんでしたが、今になって撮らなかったことが悔やまれます。

 


 仙丈岳頂上(3033m)に5時50分に到着。既に朝日が昇っていて 
狭い山頂は登山者で居場所もないくらいです。遠くから見るとどっしりとした裾野を持ち、
大きな氷河遺跡のカールを持って大きな山という印象からはほど遠い狭い山頂でした。
 小グループの人や大きなザックに鍋や釜を吊るした高校生の山岳部らしきグループもいました。

高校生グループは、混んだ山頂を避けるように仙塩尾根の方面へすぐに歩き出しました。
仙塩尾根には憧れを持っていました。延々と南アルプスの尾根道を塩見岳に向けて歩く。
何度か計画を立てましたが、とうとう未だ行けずじまいです。

 あまりの狭さと女性中高年登山者の嬌声にうんざりして、写真を数枚撮り10分ほどで頂上を離れ小仙丈方面へ下山。
 これは山頂から撮った日本第2の高峰北岳と第4の高峰間ノ岳です。雲がなければ富士山も北岳の左側に見えるはずなんですが…。

 


 これは山頂からの薮沢カールと馬の背です。右下に昨夜泊まった馬の背ヒュッテが小さく見えます。
馬の背の遥か後方は甲斐駒から続く鋸岳が見えるはずなんですが、雲がかかってしまいました。

 


頂上から少し下ったところからの仙丈岳山頂です。写りがあまり良くありませんが、この写真でも小さな狭い山頂が分かると思います。そして人がたくさん。

 


 これは更に下りて奥の大仙丈岳とそのカールを見上げたところです。右は見えにくいのですが仙丈岳山頂です。
写真でも分かると思いますが、這松帯に細かい白い砂の快適な下山路です。

 


これは小仙丈沢カールです。

 


小仙丈岳からの仙丈岳と小仙丈カールです。仙丈岳はここからの眺めが最高です。

 


陽が射してくると谷の霧が上昇し始めて北岳も霞んで来ます。

 

北岳方面は、ガスがかかっている。

 


 下山路の正面に甲斐駒ヶ岳と鋸山。手前は駒津峰です。

 

同じく甲斐駒

 


昨夜泊まった馬の背ヒュッテです。

 


 朝早く登ったので、ゆっくり降りても北沢峠には9時過ぎに着いてしまいました。9時45分のバスで広河原まで。

 


広河原を10時半頃に出発。また手に汗を握るスーパー林道と夜叉神トンネル。途中から作業車の後を付いて走ったので割と気軽でした。
夜叉神トンネルの中では途中まで来たときにバスがトンネルに入って来るところでしたが、バスがバックしてくれて何とか通り抜けられました。
シンドイ道なので、ドライバーは注意して走り事故なんかは起きないだろうなぁ。

 あとは甲府近くで中央道に入って一路自宅までまっしぐらです。首都高でいつもの渋滞があったため自宅到着は16時過ぎでした。

 今回の仙丈岳登山は、雲で眺望がイマイチでしたが雨に会わずまずまずの山行でした。南アルプスであと残る3000m峰は塩見岳。行けるかなぁ。

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